アキュラホーム住生活研究所 シンポジウム開催 住まいづくりに住まい手参加の「楽しさ」「豊かさ」を


アキュラホームの社内研究所である住生活研究所(東京都新宿区)は、2022年6月28日、すまい・るホール(東京都文京区)にて、シンポジウム「住まいづくりを楽しむ時代へ ~私たちが改めて気づき学んだこと~」を開催しました。当研究所は2014年の設立以来、住まいと暮らしに関する調査研究を実施しています。2018年からは「住まい手が参加する住まいと住環境づくりの意味と実践研究会」(以下「住まい手参加研究会」)を立ち上げ、研究に取り組んでまいりました。今回のシンポジウムでは、このコロナ禍を経た今、「私たちが改めて気づき学んだこと」を発表いたしました。

◼ 生活の中で重要視されるものが変化し、住まい手、つくり手も「豊かさ」を求める時代へ
「住まい手参加研究会」では、住まい手が住まいづくりへ参加することを契機とした多様化する価値観やニーズを調査することで、入居後の満足感の向上、さらには住宅地管理とコミュニティの醸成にまで応用することができると考え、2018年から調査・研究を進めてまいりました。今回のシンポジウムでは、住まいが住まい手の生き方や暮らし方を反映する手段となりつつあることについて、これまでの調査・研究成果を発表しました。 東日本大震災以降、私たちが生活の中で重要視するものが変化してきています。それがコロナ禍で一挙に浮かび上がり、暮らしの中で「楽しさ」や「豊かさ」を求める活動が展開され始めています。パネルディスカッションの中では、「住まい手自身が住まいづくりに参加する重要性」や「住宅業界で働くつくり手自身が豊かであること」が問われる時代になっていることについて意見交換がなされました。


■ 豊かな住環境実現のため研究を積み重ねてきた住生活研究所の取り組み
住生活研究所では、世代を超えて長く快適に暮らすことのできる住環境の実現とともに、つくり手と住まい手が協力し、住み続けた住宅の価値が、新築時の価値を上回ることができるような仕組みと文化の構築を目指しています。

アキュラホームは、当研究所が立ち上がる前から、専門家・学識経験者の方々とともに、住まいづくりに関する研究に取り組んでいます。2011年~2014年には「木の文化研究会」のシンポジウムを主宰するジャーブネットとして共催しました。京都の建築関係専門家が集い、豊かな居住文化を伝える伝統的な木造住宅に学び、その知恵を広く現代の住まいづくりに活かす研究を行いました。

そして、当研究所では、2014年~2017年に「住みごこち」「住みごたえ」「住みこなし」の3つの観点に着目した「3住み研究会」を立ち上げ、多様な住まいの価値を見据え、これからの住まい手と住まいの関係を研究してきました。そして、毎年シンポジウムを開催し、1年間の研究成果を発表してきました。2018年には「これからの住宅地を考える会」を立ち上げ、コミュニティ形成と美しい景観と優れた住環境を維持することができる住宅地開発を促進するため、戸建住宅地における中間領域(コモン)の整備や管理組合設立、コミュニティ醸成支援方法などについて研究しました。

これらの研究成果は、アキュラホームの商品開発、住まいづくり及び街づくりに反映し、お客様の豊かな暮らしを実現するべく、活用されています。(過去のシンポジウム実施実績)

<シンポジウム実績>
・2012年 「地域環境に学ぶ木造住宅の未来」 開催
・2013年 「庭との関係に学ぶ木造住宅の未来」 開催
・2014年 「住まい手からみる木造住宅の未来」 開催
・2015年 「変わる家族と住まい」 開催
・2016年 「変わる女性と住まい」 開催
・2017年 「変わる暮らしと住まいのかたち」 開催
・2018年 「暮らしを変える『コミュニティ』の条件」 開催
・2019年 「つながり志向時代の住まいづくり」 開催

◼ 「住まいづくりを楽しむ時代へ ~私たちが改めて気づき学んだこと~」 各講演の内容(抜粋)
当研究会のメンバーは、座長を務める松村秀一氏(東京大学大学院 特任教授)をはじめ、水流潤太郎氏(長岡市総合政策アドバイザー/前長岡造形大学理事長)、岩佐明彦氏(法政大学デザイン工学部建築学科 教授)、山崎陽菜氏(駒沢女子大学人間総合学群住空間デザイン学類専任講師)、伊藤圭子(株式会社アキュラホーム)です。

・「暮らし方は自分で決める、自分で作っていく」伊藤 圭子(株式会社アキュラホーム)
私たちの生き方、働き方や住まい方は変化が生じた。しかしそれは東日本大震災以降、徐々に変化していたものがコロナ禍によって一挙に浮上したに過ぎないように感じる。今、この時間を精一杯豊かに暮らすために、「他人にあてがわれたもの」ではなく、暮らし方を「自分で決め、自分で作る」ことが重要である。


「つくることとつながることのサバイバル」岩佐 明彦氏(法政大学 デザイン工学部 建築学科 教授)
コロナの流行により、ものづくりがインターネットを媒介することでつながりの質が変わったように思う。住まいは人を招くことから、自分たちのスペースをどのように作るかが重要になった。ソロキャンプの流行からは「マイ環境構築」の欲求が感じられる。住まい手が参加することで得られる「私らしい住まい」を手に入れられてない人が多いのかもしれない。

「働き方が自由になると住まい、暮らしはどうなるか」山崎 陽菜氏(駒沢女子大学 人間総合学群住空間デザイン学類 専任講師)
私は、コロナ禍での妊娠、出産、子育てを経て、コロナ禍の生活の変化だけでなく、子育てによる変化も経験した。女性の家事、育児時間は男性の2倍以上とされており、男性の育児参加は非常に重要である。リモートワークの活用により、働き方の重要度には変化が生じている。働き方が自由になることで、暮らしの充実に時間を再配分することができ、住まいを豊かで快適なものにしたいという気持ちが向上する。

「創造する生産者がかっこいい」水流 潤太郎氏(長岡市総合政策アドバイザー 前長岡造形大学理事長)
長岡市は、「発酵するまち」を目指し様々な取り組みを行っている。地域の生活者が創造する側になることで幸福感が増し、他者との良質なコミュニケーションの機会を増やしてくれる。住まいのカスタマイズ、DIY、リノベーションなどは、わたしたちが創造する生活者になるための恰好の舞台なのだと思う。


「住まいづくりを楽しむ時代へ」松村 秀一氏(東京大学大学院 特任教授/住まい手参加研究会 座長)
「つくる」を楽しむ極意は「ゆるさ」である。鹿児島県では、つくることが楽しくてしょうがないという人が集まり、請負とは違う形態で活動していた。「ゆるさ」を基本とした形態が生まれていることは非常に印象深く感じた。今すぐに浸透するものではなくとも、未来のベクトルの一つであると感じる。

パネルディスカッション(総括)
伊藤 圭子、岩佐 明彦氏、山崎 陽菜氏、水流 潤太郎氏、司会:松村 秀一氏(住まい手参加研究会 座長)

住まい手参加研究会では、住まいづくりにもっと住まい手が参加する価値を共有してきた。住宅業界で働く人がそのような生活者であるべきだと感じた。業界で働く人が「豊かであるか」を問われる時代となるのではないか。住まいづくりを「楽しむ」ことはとても大切である。今回のシンポジウムでは、いろいろな側面からみた背景、時代の変化の位置づけが紹介されていた。本日のシンポジウムが、皆様のご参考になり、明日からのよりよいお仕事や生活に役立つことを祈っている。

後援者代表挨拶 宮沢 俊哉(株式会社アキュラホーム 代表取締役社長)
この研究会は4年前に発足し、アキュラホームはつくり手として研究成果を参考にしてきました。今回のシンポジウムを聞き、まだまだ「つくり手主導」の住まいづくりだったと気づかされました。私たちは住まい手に寄り添うことを大切にして、「超注文住宅」を提供していますが、今後、さらなる「住まい手主導」の体制整備も必要であると考えさせられました。これまで以上に住まい手であるお客様に寄り添った住まいづくりをしてまいります。


【登壇者略歴】
松村 秀一(まつむら しゅういち)東京大学大学院 特任教授/住まい手参加研究会 座長
1957年神戸市生まれ。1980年東京大学建築学科卒業。1985年東京大学大学院博士課程修了。工学博士。
1986年より東京大学講師、助教授、教授を経て2018年より現職。HEAD研究会代表理事、建築技術支援協会代表理事、団地再生支援協会会長。日本建築学会賞(論文、2005年)、都市住宅学会賞(著作、2008年、15年、16年)、日本建築学会著作賞(2015年)等受賞多数。

水流 潤太郎(つる じゅんたろう)長岡市総合政策アドバイザー(前長岡造形大学理事)
1956年生まれ。大学で建築を専攻した後、1981年建設省(現国土交通省)に入省し、住宅や建築に関する行政分野での仕事に従事。埼玉県与野市(現さいたま市)、千葉県、東京都で自治体勤務を経験。
国土交通省を退職後、2022年3月まで長岡造形大学理事長。
新潟県長岡市で廃アパートのリノベーション事業や歴史的建造物の保存活用事業に取り組み中。

岩佐 明彦(いわさ あきひこ)法政大学 デザイン工学部建築学科 教授
1970年兵庫県生まれ。2000年東京大学大学院博士課程修了。新潟大学工学部助手・准教授を経て2015年より現職。
■主な著書:「まちの居場所」(東洋書店)、「仮説のトリセツ」(主婦の友社)、「まち建築」(彰国社)、「建築計画のリベラルアーツ」(朝倉書店)など
■主な受賞:日本建築学会著作賞、人間・環境学会賞、グッドデザイン賞など

山崎 陽菜(やまざき はるな)駒沢女子大学 人間総合学群住空間デザイン学類 専任講師
2013年日本女子大学大学院人間生活学研究科生活環境学専攻修了。博士(学術)。設計事務所勤務を経て、2015年より教育環境研究所にて教育施設の基本構想・基本計画とそれらに関する調査・研究に関わる。2017年4月より現職。
■専門分野:住居学・施設計画・子ども環境/子どもの行為からみた学童保育所の空間構成、子育て支援のための住環境、高齢者施設での外部空間の利用実態に関する研究。

伊藤 圭子(いとう けいこ)株式会社アキュラホーム
京都大学工学部建築学科卒業。1980年建設省(現国土交通省)に入省し、住宅や建築関係の仕事に従事するとともに、石川県、千葉県印西市、都市再生機構などでの勤務を経験。2013年株式会社アキュラホームに入社。
2014年に住まいと暮らしに関する調査を行う「アキュラホーム住生活研究所」を、企業内研究所として設立。建築推進部、品質管理部、まちづくり推進部、住生活研究所を所管する常務執行役員などを歴任。